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2012年4月2日月曜日

【読書】 BORN TO RUN

クーリエ・ジャポンの記事がきっかけで読んだ本。メキシコ奥地の峡谷を裸足で走り続けるタラウマラ族との出会いを綴るとともに、長距離を走り続けることができる秘訣に迫っている。

でも、具体的な走り方そのものについてはそれほど触れられていない。ウルトラランナーたちの生き様や、ヒトの身体が長距離を走り続けることで生存競争を生き抜くように進化したものであることを説明している。

本書のウルトラランナー達からは名誉欲とか競争心はあまり感じられない。ただ走るのが大好きなのだ。彼らの長距離を走る喜びとは本能に従う喜びだと思う。走る喜びがランナー達を突き動かし続ける、長距離走の一番の秘訣だと感じた。

具体的な走りかたは動画見たほうが早いと思う。本書にあるとおり、姿勢をまっすぐにして視線を高くし、体の真下に着地するようにしている。ストライドを広げて踵から着地する走るとスピードは出るが怪我するリスクが高いとのことだ。



アメリカでは国家的危機の際に長距離走ブームが来たそうだ。過去3度のブームは大恐慌のあと、反戦運動が盛んだった70年代と、911テロの後だったらしい。昨今の日本でのマラソンブームも将来への不安感の表れなのだろうか。


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2011年8月28日日曜日

Googleの脳みそ 変革者たちの思考回路

Twitterで話題となっている本。本日(8月26日)現在ではAmazon・楽天ブックスともに在庫切れとなっており、かなり人気のようだ。タイトルからGoogleの経営スタイルを解説した本かな?と最初思っていたが、実際には法規制のあり方の問題に焦点を当てている。

「新興衰退国」となってしまっている日本の様々な問題点に触れ、新たなルールのあり方(「やる気システム」と本書では言っている)を提示している。日本の停滞についての問題意識については最近読んだ、「日本中枢の崩壊」とも似た部分があったが、本書では停滞を打破する方法として司法の役割にもフォーカスしている点に新しさを感じた。

タイトルのGoogleは「正面突破戦略」を採用する代表例として登場する。正面突破戦略とは、「新サービスが社会の要請に応えるものとの確信を胸に挑戦し、利用者からの支持や法定闘争などを通じて法的課題を克服していく作業」のこと。GoogleはYou tube、ストリートビュー、ライブラリープロジェクトなどで著作権法やプライバシーに関する法的リスクを積極的に取りに行ってきた。この背景にはイノベーションを追求する企業家の積極的な姿勢と、そういった姿勢を許容する風土やルール(フェアユース規定など)の存在を指摘している。

一読し、自分の仕事と関連して考えたのは、士業の整理解雇ルールの見直しである。

本書では、整理解雇の4要素(人員整理の必要性、解雇回避の努力義務、解雇対象者の妥当性、手続の妥当性)が非正規雇用の割合が増え、終身雇用の前提が崩れている現状とマッチしていないと指摘し、規制緩和を提言している。

昨今、大手監査法人でのリストラが相次いでいるが、いずれも希望退職を募集する方法での削減を行っているようだ。これは本書にもある整理解雇の4要素の「解雇回避の努力義務を果たす」ためだと推測する。

4要素への配慮が金科玉条のように扱われるべきでない点については同じ考えだ。特に会計士に限らず士業の世界は、多少給料が下がることを受け入れれば自分の専門領域でメシを食うことができるはずである。また、資格団体内や同業者との横のつながりもあり、一般的なサラリーマンとは異なる立場にある。率先して異なったアプローチによるリストラをやるのも一案だったのではなかっただろうか?監査法人で働く会計士の立場からすると厳しいのは確かだが、結局回りまわって日本が元気にならないと、監査業界の市場規模は縮小する一方だろう。

他にも色々思うところはあったが、またの機会にまとめようと思う。





2011年8月18日木曜日

特捜検事ノート 河合信太郎


著者は元東京地検特捜部長で、本書は戦後の汚職事件を数多く手がけた経験に基づき捜査のあり方を綴っている。繰り返し述べているポイントは以下の3点である。

1、人に聞くより物を見よ
自白を求めることではなく証拠の収集と検討が第一でなければならない点を本書では何度も強調されている。証拠の詳細検討を行わずに自白を取ることを中心とした捜査は科学的・合理的なものではなく上滑りになりやすい点や、被疑者が犯罪事実を認めているという安心感から究明が不徹底となる点も強調している。

2、 不偏不党厳正公平な検察権の行使
「検察における不偏不党とは、検察権の行使は常に一党一派に偏することなく厳正中立であって、いささかもそれが疑われるようなことがあってはならない」
「これは国のためになる、これは国のためにならないだろうというようなことを狭い視野で政治的な配慮をするということは、検察の邪道である」

3、社会正義を実現する気概
「検察の問題は、つねに社会的に生命を奪うという厳粛な、重大な問題を議論するのだから、それを担当する主任検事も、これを決済する決裁官も、情熱を注ぎ込んで上滑りの報告、決裁ではなく、お互いに全身全霊を打ち込んで事件の内容と取り組むという心構えが欲しい」
「人を調べ、罪を懺悔させるというからには、取調官自身が、まず身を修め、誰の前に出ても犯罪に関する限り、その人を懺悔させ頭を下げさせるという確固たる信念を持つようにならなければならない」

本書を一読して思ったのは、著者が考えるあり得べき捜査を行っていれば、特捜検察が今のように批判されることはなかっただろうということだ。郵便不正事件以降、特捜検察は厳しい批判に晒されて、その社会的信頼は低下している。特捜検察への権限の集中、恣意的な国策捜査、検察の考えるストーリーへの強引な当てはめ、経済実態への理解不足、マスコミとの関係などが現在批判されているが、これらはいずれも本書が20年以上前に指摘していたものと重なる。

最近は特捜検察解体論を目にする機会も多いが、捜査機関としての能力低下が根本的な原因と考えると、若干違和感を感じる。結局のところ組織の質は構成する個々の人間の質で大半が決まる。だから、より良い社会のためにどのような制度がベストなのかという議論と同じくらい、その運用をどのように担保するのかといった観点は重要だ。20年以上前の先人の理念が現在に受け継がれていないことに対する批判がもっとあっても良いのではないだろうか。

2011年8月15日月曜日

日本中枢の崩壊


遅まきながらお盆休みを利用して読了。著者は経済産業省の官僚で、官僚組織の意思決定プロセスの実態を明かすと共にその問題点を具体的に指摘している。批判一辺倒ではなく、具体的な政策提言を行っている点が単なる暴露本と違う所だ。


電力産業の発送電分離、中小企業に比べて過剰な農業保護への批判、また市場競争力を失っている企業への補助による競争阻害批判などは、主張の通りだと思う。


読了後にまず感じたのは、リーダーシップ不在でミドル層にまでリスクを取らない風土が蔓延しているのは官僚組織だけでないということ。本書では「慎重に検討」「前向きに検討」といった婉曲な表現が官僚用語として上げられているが、今やこれらの言葉は一般用語化していると感じた。


日本人は「組織力が強みだ」と自画自賛することが多い。政府にはとりわけその傾向が強い。個人で戦うことに地震がないのでチームワークをことさら強調する。しかし、日本の強みはチームワークの「和」ないし「協調性」の部分であり、たとえば、組織としての決断力、俊敏性、行動力などにおいては、欧米の政府や企業に比べて明らかに劣っているということをあまり自覚していない。


問題は日本的な組織風土を変えるための手段。筆者は総理大臣によるリーダーシップを期待しているが、理想の人物が総理大臣になり続けるような国になるには、今の価値観や危機意識が変わらないと難しいだろう。ニワトリが先か卵が先かという話になるので、私はもっと危機的状況になるまでは変わらないと半ば諦めている。


それと読んでて感じたのは、政策の良否を評価する手法の開発と共通化にもっと取り組むべきだということ。NTTの売却益を原資として2千数百億円をベンチャー支援として無駄にした話がでているが、一般企業では全くあり得ない。政策の効果をキチンと測定して評価する仕組が欠如していることの証左だろう。


事業仕分けはこういった問題意識から始まったものであるが、その効果の測定方法が一般企業に比べると不正確だと思える。例えば大阪港の利用促進事業の事業シートでは、海外駐在員及び国内海運専門紙への企画広告、パンフレット製作の効果を大阪港における外貿コンテナ取扱貨物量の推移で判定している。実施事項と成果との因果関係が弱く評価指標として不適切であるし、コンテナ数の増加が最終的に税収とどのように関係しているのかも分からない。

コンテナ取扱貨物量の増加が最終目標であるなら別だが、事業シートでは大阪市の産業活動の活性化とある。例えば大阪港を使った輸出入を行っている事業所の売上高伸び率を取るとか、これら事業所にアンケートを取ってキャンペーン先の国との取引引き合いがあったかどうかを確認するとかすべきだ。


事業仕分けでその成果を判定するための指標の決め方について、栗東市の事業シート作成マニュアルでは以下記述がある。これでは具体性に欠けるし他の自治体で行っている同種の事業との比較が困難である。



【成果指標設定の留意点】
    ・成果の内容(市民生活にどのような効果があったかなど)を表わしている。
    ・活動指標(行政が実際に行った業務量)になっていない。
    ・実際に計測できる。
    ・民間の活動など他の要因が指標の値に大きな影響を及ぼしていない。
    ・経年変化が把握可能である。
    ・正確かつ適時に、低コストで計測できる。
    ・事務事業の目標到達度把握に使用可能なものである。
    ・市民が容易に理解できるものである。
    ・満足度のような比較が困難な数値はできるだけ使わない。
    ・データがとりやすいという理由で、施策と関係のない指標を設定しない。
    ・指標の数値の大小にこだわらない。
    ・事業が完了しないと成果が測れない(道路・施設建設、区画整理など)の場合は、毎年度測れるものを設定して代用する。
一般企業の管理会計のように投資の成果を対象事業の売上高で測定できない面で難しさはあるが、より効率的かつ客観的な手法を早期に開発すべきであろう。







2011年7月18日月曜日

特捜神話の終焉

元検事の郷原信郎氏と元被告人である堀江貴文・細野祐二・佐藤優各氏との対談。
各氏のケースを通じて検察の問題を浮き彫りにしている。
指摘されている問題点はさんざん目にしてきたものだったのでそれほど目新しさはなかったが、細野氏の対談で出てきた小沢一郎氏の政治資金報告書のところが面白かった。細野氏は、政治資金報告書が単式簿記であることに触れた上で、以下のように説明している。
・2004年に小沢氏から石川氏に現金で渡った4億円は、返済期間も金利も設定されていなかったのであるから、仮受金として処理すべき。借入金は政治資金報告書の記載項目ではないため書かなくて良い。 
・世田谷の土地購入後、陸山会は別の政治団体から資金を集め、4億円の定期預金を積む。小沢氏はこの定期預金を担保に4億円を銀行から借りて陸山会に貸付している。会計的には4億円の仮受金を定期預金4億円で返済したことになる。

問題をややこしくしたのは、4億円の銀行借入をおこなった者(小沢氏)と担保資産を保有する者(陸山会)が異なった点だったと思う。細野氏の言うとおり、定期預金によって小沢氏からの仮受金の精算を行ったとみることもできるし、逆に担保提供している定期預金が陸山会に帰属する資産であることを理由に、小沢氏名義での借入を実質的に陸山会に帰属する負債と擬制することも一案だろう。

いずれにしても、銀行は陸山会と小沢氏個人が実質的に同一として融資している実態があるのに、政治資金報告書を陸山会単体でつくらせる所がナンセンスなのだと思う。


2011年4月24日日曜日

テレビディレクター 田原総一朗

文庫は絶版になっていて、アマゾンでは中古で2万円近くになっている小説。
アゴラブックスで電子書籍として復活してたので早速読んでみた。
http://www.agora-books.com/detail/000000000003001.jsp



少年院を出所した後の社会復帰をテーマにしたドキュメンタリーの顛末を描いたもの。文庫版は”小説”が付いていたが、時を経てノンフィクションとして再出版したようだ。商業番組のディレクターとしての立場と、ドキュメンタリーの製作者としての立場との葛藤が正直に描かれている。

客観的な第三者として向き合うのではなく、正面から対象にぶつかる姿を映像化する手法を職業として続けることに驚く。著者にとって番組制作は労働ではなく自己表現。その彼が当時盛り上がっていた労働組合との議論する場面の描写が印象的だった。

読後まず感じるのは、1960年代後半の熱さ。番組制作に関わる一人ひとりが哲学や美学を持っていて、延々と議論が続いてクドい位。一方で、熱い現場がうらやましい。

少年院では「シャバにでた後に、古い友人を捨て、過去を捨てる」こと学ぶ。それでも少年院を出た人間の多くは再び戻ってくる。テレビディレクターとして、そこに問題意識を見出すのは自然だと思う。でも、実際にはその思いを映像化する過程ですれ違いが生じる。

実際の番組を今では見れないので推測に過ぎないが、ドキュメンタリーの顛末を描いた本書と比べて、実際の番組はしょっぱい感じだったと推測する。リンク先の独白の方がこの本よりも迫ってくるものがあった。インタビュアーは黒子になって、独白のような形を撮るほうがよかったと思う。

http://blog.livedoor.jp/blog_ch/archives/50489867.html

2011年1月5日水曜日

影響力の武器 実践編 「イエス!」を引き出す50の秘訣

サブタイトルのとおり、「イエス」を引き出すためのノウハウ集。事例とともに心理学的な側面からの解説を行っており、サクサクと読める。「影響力の武器 第二版」の続編の位置づけであるが、実践編だけをでも特に理解に問題はない。

一対一でおこなう交渉、説得や要請というのは、個別対応による影響が大きいと思っていたので、一般的に有効なノウハウがあることが興味深かった。特に一貫性の原理(一貫していたい、一貫していると見てもらいたいという欲求)はナルホドと思った。

本書では一貫性の原理の例として「気に入らない相手に何かを頼むことで、相手はより好意的に自分を見るようになる」があった。これは人は自分の行動と考え方の一貫性を保とうとするから、好意を持つ人へ親切にするのと同様に、親切な行動をとればその人に好意を持つようになるとのこと。ちょっとした工夫が大きな成果を生むところが面白い。

また、読後に改めて思ったが、流行のビジネスも「影響力の武器」を利用しているように思う。
たとえばグルーポンでは以下のような工夫が見て取れる。

1、社会的証明の原理
共同購入を成立させるためユーザーがSNSを使った拡散を行うように誘導している。SNSを通じた購入要請は「社会的証明の原理」(人は迷ったときに周りに目を向けて他人の行動を手本にする。ここで証言する人が聞き手と似ていれば似ているほど説得力が増す。)による効果が見込まれる。

2、希少性の原理
共同購入の募集時間を限定することで、希少性の原理(手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる)を利用している。

ただ、2は類似サービスを行っている他業者と基本的に差はないし、1も例えば拡散を行ううえでのキーマンが他のサービスに乗り換える可能性があるわけだから、差別化がなかなか難しいようにも思える。ホリエモンが半額東京と組んでるみたいに拡散する上でのキーマンとグルーポンサービス会社が組むとか、アフィリエイトみたいなものを導入するとかだろうか。







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