2011年4月27日水曜日

在宅勤務はなぜ広がってこなかったのか?

節電対策として在宅勤務が広がってきている。

NTT全社的在宅勤務 夏の節電へ8社5万人

ソフトバンクグループ、社員の在宅勤務で夏場の節電


在宅勤務によって、まず通勤電車の電力が浮く。オフィスビルの空調は自宅のエアコンより効率的だが、ゆるい格好で仕事できるので設定温度はオフィスビルほど下げなくても行けるだろう。人によってはオフィスビルの冷房が寒すぎることもあるので、各自が好みの温度設定した環境で仕事したほうが効率的な電力消費だと思う。また、雇用者からすると電力代や通勤代の節約ができるし、オフィスの面積を小さくして賃借料のコストダウンもできる。

こう考えるとメリットばかりが目に付くが、25%節電の話がでるまで導入が進まなかったのはなぜだろうか?ぼんやり考えて思いつくのは以下くらいだ。

① 同僚がどのようなを仕事を行っているか分からないので。職場の一体感を醸成しにくい。
② face to faceのコミュニケーションができない。特に新入社員へのOJTを実施しにくい。
③ 各従業員が協力してひとつのタスクに対応する場合、メンバー相互に頻繁にコミュニケーションを行うため非効率的。

私も在職中の組織で部門長に在宅勤務の提案を地震後におこなったが、結局のところは説得できなかった。周りの50代位の世代をみていると、やっぱり直接顔を付きあわせたコミュニケーションがベストで、電話やメールは副次的なものだという考えがあり、ここが変わらないから在宅勤務が広がらないのではないかと思う。

まずはあまりメンバー相互のコミュニケーションがあまり必要としない、給与計算とか経理とかの専門的な事務仕事から在宅勤務が広がっていくとは思う。でも本格的な拡大は、全社的なITリテラシーが高い会社の成功事例が出始めてからだろう。NTTやソフトバンクは停電問題が解消したあとも積極的に在宅勤務を進めてそのコスト削減額を開示していって欲しい。

ホリエモン上告棄却

ホリエモンの上告棄却が決まった。夕方やっていた記者会見を観たが、世の中は不条理に満ちていると達観する姿が印象的だった。
堀江貴文氏緊急記者会見 主催:自由報道協会

問題となった投資事業組合が行ったライブドア株売却益は、ホリエモンのブログでも触れている通り会計上議論があるところだと思う。

投資事業組合を連結範囲に含めるかどうかの論点では、業務執行社員が出資者と緊密な者に該当するかどうかがキーとなる。緊密な者というのは”自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者”が定義である。実務上は状況を個別に判断することになる。

実際に上場企業の決算をやっていれば常識の話だが、決算では見積や判断の影響が非常に大きい。また、会計基準は全てを細々と規定したものでなく、会計基準を実際に決算で運用するためには、それぞれのルールを補完する社内ポリシーを整備する必要がある。ライブドアの自己株式売却益の論点は、少なくとも当時の会計上は十分グレーな領域で、連結範囲に含めないからといって明らかに粉飾と言えるレベルなのだろうか?

今後、会計基準は複雑さを増すなかで、粉飾かどうかの認定を検察が行うのは無理だと思う。また、その弁護を弁護士主導で行うのも難しいと思う。会計士が経済事件の究明に積極的に関与する仕組みが必要だ。また、会計士業界でもセカンドオピニオンを積極的にだして、ある事象に対して常に唯一無二のあるべき処理が存在するのではないことを世間の常識にすべきだと思う。

今回の実刑判決はどう考えても不条理で気の毒な話だと思う。今の社会構造はそうすぐに変わりそうにもないので、早くシャバに戻ってバリバリやって欲しい。

2011年4月25日月曜日

寄付がアマチュアスポーツを支える時代へ

大学時代、ボート部に所属していた。ほとんど年中合宿所に寝泊りし、毎朝5時に起きて練習する日々。ボートが生活の全てだった毎日はしんどいことも多かったが、幸せな日々だった。

昨日、10年ぶりくらいにOB会に出席した。ボートを取り巻く環境が徐々に厳しくなってきていることを改めて感じた。大学からの交付金は年々縮小傾向。文系の学生は就職活動があるため、体育会に入るのは殆どが理系の学生だそうだ。また、スポーツ施設の利用料は税収減少を受けて毎年値上げを余儀なくされている。空前のマラソンブームは健康志向だけが理由でなく、手っ取り早いというとこもあるのかもしれない。

企業の決算シーズンが始まり、大手企業の東日本大震災による影響が出始めている。影響が上半期にとどまり下期は回復を見込む企業が多い。でも、自粛ムードや増税による消費意欲減退に加えて電力代金の値上げをどこまで折りこんでいるのだろうか?復興需要が見込まれる業界以外は、普通の手を打っただけで元のレベルに戻ることはないとみるべきだろう。

野球、バレーボール、サッカーのようなメジャースポーツはプロ化と地域密着で支えられている。剣道や柔道、陸上競技は学校教育で支えられている。それら以外のアマチュアスポーツは、税収や補助金の影響をもろに受ける。だから、今後のあり方を今考える必要があると思う。基本的にはマイナースポーツほど、広く寄付を集める仕組みを急いで構築すべきだと思う。

2011年4月24日日曜日

テレビディレクター 田原総一朗

文庫は絶版になっていて、アマゾンでは中古で2万円近くになっている小説。
アゴラブックスで電子書籍として復活してたので早速読んでみた。
http://www.agora-books.com/detail/000000000003001.jsp



少年院を出所した後の社会復帰をテーマにしたドキュメンタリーの顛末を描いたもの。文庫版は”小説”が付いていたが、時を経てノンフィクションとして再出版したようだ。商業番組のディレクターとしての立場と、ドキュメンタリーの製作者としての立場との葛藤が正直に描かれている。

客観的な第三者として向き合うのではなく、正面から対象にぶつかる姿を映像化する手法を職業として続けることに驚く。著者にとって番組制作は労働ではなく自己表現。その彼が当時盛り上がっていた労働組合との議論する場面の描写が印象的だった。

読後まず感じるのは、1960年代後半の熱さ。番組制作に関わる一人ひとりが哲学や美学を持っていて、延々と議論が続いてクドい位。一方で、熱い現場がうらやましい。

少年院では「シャバにでた後に、古い友人を捨て、過去を捨てる」こと学ぶ。それでも少年院を出た人間の多くは再び戻ってくる。テレビディレクターとして、そこに問題意識を見出すのは自然だと思う。でも、実際にはその思いを映像化する過程ですれ違いが生じる。

実際の番組を今では見れないので推測に過ぎないが、ドキュメンタリーの顛末を描いた本書と比べて、実際の番組はしょっぱい感じだったと推測する。リンク先の独白の方がこの本よりも迫ってくるものがあった。インタビュアーは黒子になって、独白のような形を撮るほうがよかったと思う。

http://blog.livedoor.jp/blog_ch/archives/50489867.html

2011年2月27日日曜日

SNS初心者が読んでみた「フェイスブック 若き天才の野望」

遅まきながら「ソーシャル・ネットワーク」を見てきた流れで読んでみました。映画と同様、アメリカのITベンチャーのイキイキとした雰囲気とスピード感が出ていて、500ページくらいでしたが一気に読みました。



映画では少し偏屈なコンピュータマニアとして描かれてる部分もありましたが、本を読むとザッカーバーグの独特の世界観が良くわかります。マネタイズよりもクールさを追求し、フェースブックに広告を載せたがらなかったエピソードは典型的です。

他のSNSとの大きな違いである実名主義についても、彼の信念を反映しています。
2種類のアイデンティティーを持つことは不誠実さの見本だ
自分が誰であるかを隠すことなく、どの友達に対しても一貫性をもって行動すれば、健全な社会づくりに貢献できる。
Twitterは会ったこともない人から自分のつぶやきに反応してもらったりするのが楽しいですが、フェースブックはリアルの人間関係をネットで表現して相互作用を起こすことを目指しています。実際に使ってみると、疎遠になってた人とつながったりするのが面白いです。

インターネットが一般的になってきてた90年代後半の頃は、実名でもネット上だけ妙に論戦好きだったり、リアルからキャラクターが豹変する人が結構いたように思います。でも生まれたときからネットがある世代が社会に出てくるようになって、そのあたりが徐々に変質してきてるんじゃないかと思います。私の周りでは、40代半ば以上のオヤジ世代は昔からあんまり変わらない気もするけど、20代の人はネットで人格豹変する人をあまり見ないし。そういう意味で2011年になってフェースブックが日本で流行しているのは来るべくしてきたものであって一時的なものではないと思うし、オヤジ世代はともかく日本でも実名主義は普通に定着してくると思います。

 また、Googleとの違いについてもわかり易く解説されています。
グーグル(中略)は、ユーザーが欲しいとすでに決めているものを探す手助けをする。これに対してフェイスブックは、ユーザーは何が欲しいかを決める手助けをする。
「検索をしたくなるような広告」が出来ること、ユーザ情報に基づき「検索をしたくさせる対象」を絞り込むことが出来ること、がGoogleには出来ないフェイスブックの強みなのです。

個人的には未だ使いこなせてないフェースブックですが、本を読んでから触ってみると楽しみが広がると思います。

2011年2月25日金曜日

専門職業界とTPP

この間見ていたニコニコ生放送で岩上安身さんが「マスコミではあまり話題になっていないが、TPP参加で医者や弁護士といった専門家の世界も大きく変わる。」との発言がありました。
興味があったのでググってみたら、10年間の猶予期間があるけど医師、弁護士、公認会計士といった資格が、どの国でも認められることになるようです。

また、ニュージーランド外務省でTPPの主要合意書が見れるのでざっと見てみました。

5. As set out in Annex 12.B, the Parties agree to facilitate the establishment of
dialogue among their regulators and/or relevant industry bodies with a view to the
achievement of early outcomes on recognition of professional qualifications and/or
professional registration.
  Such outcomes may be achieved through
harmonisation, recognition of regulatory outcomes, recognition of professional
qualifications and professional registration awarded by one Party as a means of
complying with the regulatory requirements of another Party whether accorded
unilaterally or by mutual arrangement, including where appropriate through an
Implementing Arrangement.
6. The initial priority areas for work on professional qualification and
professional recognition requirements  are engineers, architects, geologists,
geophysicists, planners, and accountants.
 The priority areas and the recognition
outcomes achieved on priorities shall be reviewed within the time periods set out in
Article 12.9.
上記を見る限りは、専門資格の相互認証を業界団体と議論して推進しましょう、というレベルのようです。また、いわゆる専門職業界の中でも優先順位をつけて取り組みましょうということのようですね。ただ、上記は2005年に当初4カ国(シンガポールブルネチリニュージーランド)で行った合意書で、その後変更あったのかは追っかけ切れていませんが。。


いきなりアメリカやチリの医者や弁護士や会計士が日本で開業するって話には多分ならないと思いますが、TPPに参加する限りいずれはそうなるって考えたほうが良さそうです。


でも多分一番大きいインパクトは、安い賃金で働く外国人専門家が日本市場に参入することによりも、日本の専門資格の高い壁が崩れることだと思います。弁護士や会計士試験の合格率はアメリカよりもかなり低いですが、TPP参加各国との整合性とる中で下がるはずです。実務に必要な知識や経験は実務でしか身につかないので、入り口の資格試験を厳しくすることで業界全体の品質を担保するというのは、そもそもナンセンスだと思います。ですんで、日本の資格試験制度がスタンダードになる可能性は低いと思う次第です。

2011年1月5日水曜日

影響力の武器 実践編 「イエス!」を引き出す50の秘訣

サブタイトルのとおり、「イエス」を引き出すためのノウハウ集。事例とともに心理学的な側面からの解説を行っており、サクサクと読める。「影響力の武器 第二版」の続編の位置づけであるが、実践編だけをでも特に理解に問題はない。

一対一でおこなう交渉、説得や要請というのは、個別対応による影響が大きいと思っていたので、一般的に有効なノウハウがあることが興味深かった。特に一貫性の原理(一貫していたい、一貫していると見てもらいたいという欲求)はナルホドと思った。

本書では一貫性の原理の例として「気に入らない相手に何かを頼むことで、相手はより好意的に自分を見るようになる」があった。これは人は自分の行動と考え方の一貫性を保とうとするから、好意を持つ人へ親切にするのと同様に、親切な行動をとればその人に好意を持つようになるとのこと。ちょっとした工夫が大きな成果を生むところが面白い。

また、読後に改めて思ったが、流行のビジネスも「影響力の武器」を利用しているように思う。
たとえばグルーポンでは以下のような工夫が見て取れる。

1、社会的証明の原理
共同購入を成立させるためユーザーがSNSを使った拡散を行うように誘導している。SNSを通じた購入要請は「社会的証明の原理」(人は迷ったときに周りに目を向けて他人の行動を手本にする。ここで証言する人が聞き手と似ていれば似ているほど説得力が増す。)による効果が見込まれる。

2、希少性の原理
共同購入の募集時間を限定することで、希少性の原理(手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる)を利用している。

ただ、2は類似サービスを行っている他業者と基本的に差はないし、1も例えば拡散を行ううえでのキーマンが他のサービスに乗り換える可能性があるわけだから、差別化がなかなか難しいようにも思える。ホリエモンが半額東京と組んでるみたいに拡散する上でのキーマンとグルーポンサービス会社が組むとか、アフィリエイトみたいなものを導入するとかだろうか。







【送料無料】影響力の武器(実践編)

価格:2,100円(税込、送料別)
影響力の武器第2版

価格:2,940円(税込、送料別)