2011年11月11日金曜日

オリンパスの投資有価証券 その2

オリンパスの第三者委員会の調査結果が徐々に明らかになってきた。

オリンパス、預金水増しで損失隠す 1300億円資産計上 

1990年代の投資損失を外国銀行預金等に付け替えたとあり、含み損が含まれる預金残高は300億円~600億円とのことだ。

2009年3月期の有価証券報告書の単体貸借対照表上の現金及び預金は178億円計上されており、この記事にある外国預金等の残高を下回っている。なので、この外国銀行預金等は他の勘定科目で整理されていたのかもしれないし、子会社で計上されていたのかもしれない。

正直な所、預金の監査で失敗するなんてありえない気もするが、その辺りは今後の調査を待つしかない。通常、預金の会計監査では少なくとも銀行への残高確認手続が行われる。残高確認は監査人が直接銀行に確認を行う手続なので、含み損を見抜けなかったということが事実であれば、残高証明書の偽造も絡んでいた可能性もあるだろう。少数のアドバイザーだけではなく、複数の協力者も関与した大掛かりなものであった可能性もあるだろう。
仮に子会社にて含み損を抱えた資産が計上されていたとすると、問題は複雑となる可能性が高い。通常、連結財務諸表の監査を行うにあたって、海外子会社の監査は現地の監査人に指示してその結果に依拠する。子会社の監査をどのように行なっていたかや、そのフォローを日本の監査人がどのようにおこなっていたかも議論になるであろう。

今回の事件をきっかけにして、監査実務は大きな影響を受けるに違いない。会計監査の世界というのは密室芸に近いところがあり、具体的にどのようなことをやっているかが外から見えにくい。なので、社会的信頼や評判を毀損するような事件がおこったときは、制度の変更や新たな監査ルールの導入など、制度面でのテコ入れで改善したことをアピールすることになる。

本当は監査手法を画一的にするのではなく、ケースバイケースの対応がベストなのだが。。






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