2011年2月27日日曜日

SNS初心者が読んでみた「フェイスブック 若き天才の野望」

遅まきながら「ソーシャル・ネットワーク」を見てきた流れで読んでみました。映画と同様、アメリカのITベンチャーのイキイキとした雰囲気とスピード感が出ていて、500ページくらいでしたが一気に読みました。



映画では少し偏屈なコンピュータマニアとして描かれてる部分もありましたが、本を読むとザッカーバーグの独特の世界観が良くわかります。マネタイズよりもクールさを追求し、フェースブックに広告を載せたがらなかったエピソードは典型的です。

他のSNSとの大きな違いである実名主義についても、彼の信念を反映しています。
2種類のアイデンティティーを持つことは不誠実さの見本だ
自分が誰であるかを隠すことなく、どの友達に対しても一貫性をもって行動すれば、健全な社会づくりに貢献できる。
Twitterは会ったこともない人から自分のつぶやきに反応してもらったりするのが楽しいですが、フェースブックはリアルの人間関係をネットで表現して相互作用を起こすことを目指しています。実際に使ってみると、疎遠になってた人とつながったりするのが面白いです。

インターネットが一般的になってきてた90年代後半の頃は、実名でもネット上だけ妙に論戦好きだったり、リアルからキャラクターが豹変する人が結構いたように思います。でも生まれたときからネットがある世代が社会に出てくるようになって、そのあたりが徐々に変質してきてるんじゃないかと思います。私の周りでは、40代半ば以上のオヤジ世代は昔からあんまり変わらない気もするけど、20代の人はネットで人格豹変する人をあまり見ないし。そういう意味で2011年になってフェースブックが日本で流行しているのは来るべくしてきたものであって一時的なものではないと思うし、オヤジ世代はともかく日本でも実名主義は普通に定着してくると思います。

 また、Googleとの違いについてもわかり易く解説されています。
グーグル(中略)は、ユーザーが欲しいとすでに決めているものを探す手助けをする。これに対してフェイスブックは、ユーザーは何が欲しいかを決める手助けをする。
「検索をしたくなるような広告」が出来ること、ユーザ情報に基づき「検索をしたくさせる対象」を絞り込むことが出来ること、がGoogleには出来ないフェイスブックの強みなのです。

個人的には未だ使いこなせてないフェースブックですが、本を読んでから触ってみると楽しみが広がると思います。

2011年2月25日金曜日

専門職業界とTPP

この間見ていたニコニコ生放送で岩上安身さんが「マスコミではあまり話題になっていないが、TPP参加で医者や弁護士といった専門家の世界も大きく変わる。」との発言がありました。
興味があったのでググってみたら、10年間の猶予期間があるけど医師、弁護士、公認会計士といった資格が、どの国でも認められることになるようです。

また、ニュージーランド外務省でTPPの主要合意書が見れるのでざっと見てみました。

5. As set out in Annex 12.B, the Parties agree to facilitate the establishment of
dialogue among their regulators and/or relevant industry bodies with a view to the
achievement of early outcomes on recognition of professional qualifications and/or
professional registration.
  Such outcomes may be achieved through
harmonisation, recognition of regulatory outcomes, recognition of professional
qualifications and professional registration awarded by one Party as a means of
complying with the regulatory requirements of another Party whether accorded
unilaterally or by mutual arrangement, including where appropriate through an
Implementing Arrangement.
6. The initial priority areas for work on professional qualification and
professional recognition requirements  are engineers, architects, geologists,
geophysicists, planners, and accountants.
 The priority areas and the recognition
outcomes achieved on priorities shall be reviewed within the time periods set out in
Article 12.9.
上記を見る限りは、専門資格の相互認証を業界団体と議論して推進しましょう、というレベルのようです。また、いわゆる専門職業界の中でも優先順位をつけて取り組みましょうということのようですね。ただ、上記は2005年に当初4カ国(シンガポールブルネチリニュージーランド)で行った合意書で、その後変更あったのかは追っかけ切れていませんが。。


いきなりアメリカやチリの医者や弁護士や会計士が日本で開業するって話には多分ならないと思いますが、TPPに参加する限りいずれはそうなるって考えたほうが良さそうです。


でも多分一番大きいインパクトは、安い賃金で働く外国人専門家が日本市場に参入することによりも、日本の専門資格の高い壁が崩れることだと思います。弁護士や会計士試験の合格率はアメリカよりもかなり低いですが、TPP参加各国との整合性とる中で下がるはずです。実務に必要な知識や経験は実務でしか身につかないので、入り口の資格試験を厳しくすることで業界全体の品質を担保するというのは、そもそもナンセンスだと思います。ですんで、日本の資格試験制度がスタンダードになる可能性は低いと思う次第です。